ハーボニーは軽度・中等度の腎機能低下では、用量調節は不要。

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ハーボニーはledipasvir/sofosbuvirの配合剤です。sofosbuvirは代謝物が腎排泄されるため、重度腎障害(補正eGFR<30)、透析患者では禁忌とされています。軽度・中等度腎障害の場合はどう考えたらよいでしょうか。

米国・EUの添付文書では、軽度・中等度の腎機能障害に用量調整は不要とされています。米国の添付文書では、特別な集団として腎機能低下者の動態が検討されています。軽度(補正eGFR:80~50)、中等度(補正eGFR:50~30)ではsofosbuvirのAUC 0-infは61%、107%増加、また主代謝物GS-331007のAUC 0-infは55%、88%増加しました。1)

薬剤師のるぅ先生から腎機能中等度低下時のsofosbuvirの補正係数0.5で妥当だろうかとコメントを頂いたのですが、それを裏付けるようなデータと考えます。

sofobuvirは3倍量の1200mg単回投与で、有害事象の頻度と重症度はプラセボと同様でした。

GS-331007の半減期は、腎機能正常で22.7時間より、補正係数0.5の場合、2倍の45.4時間に延長していると考えられます。蓄積率は、1/(1-exp(-0.693Tau/T-half))から1.9と3.3ですから、中等度腎機能低下でもCss.maxは単回投与時の3.3倍程度であり、安全性はあると解釈出来るかも知れません。

るぅ先生は、ハーボニー配合錠1錠48時間おき、と言う処方を受けられたそうです。

ハーボニー配合錠の用法用量設定の根拠、と言う資料がありました。1) 第1相試験でledipasvir(LDV)90mgを3日間単独投与での血漿中LDV濃度のトラフ値は、ジェノタイプ1のHCV平均推定EC90の127.4倍とあります。半減期は約50時間ですので、投与間隔が倍の48時間になったとして、トラフ値はEC90の63.7倍で、これは30mgを3日間投与でのトラフ値のEC50の51.1倍と同程度です。また第2相の用量設定試験で4剤併用した結果、SRV24率は、LDV30mg+DAAの24週間投与群と、90mg+DAAの12又は24週間投与群で統計的有意差は認められませんでした。

これらの知見から、承認外の用法用量ですが、ハーボニー配合錠48時間おきも、ある程度の有効性はあるかも知れません。

ただ、確実な治療効果を得る為には、用量調節をしない投与方法を取る方がbetterではないかと私は思います。

参考文献

1)PMDA「ハーボニー配合錠に関する資料」