健康診断でコレステロール値が高いと指摘された人は、薬を飲まないとダメ?家族性高コレステロール血症って何ですか?

健康診断で、コレステロールが高いのを指摘される人は少なくないと思います。いったい、薬を飲んでコレステロール値を下げた方が良いのでしょうか?

コレステロール値を下げる目的は、動脈硬化を予防し、心筋梗塞等の発症を予防する事です。実は日本人は心筋梗塞の発症率が欧米人の1/3程度 1)と低いので、ガイドラインに盲従することなく、リスク・ベネフィットを勘案して治療対象としない選択肢はあると思います。

例外的に、リスク・ベネフィットから強力な治療をした方がよい(と、わたしは思う)グループがあります。家族性高コレステロール血症(FH)の治療です。今日は、FHの話をしようと思います。

Aさんは40代の女性です。標準体型より、やややせ形。先月が初診でLDL(いわゆる悪玉コレステロール)が216と高く、アトルバスタチン10mgが開始されました。

20代の頃からコレステロール値が高いことを指摘されていたそうです。親兄弟、祖父と皆コレステロール値が高かったそうです。

本日の血液検査でコレステロール値はLDL100程度、HDL70程度と検査票より確認しました。病院では色々検査をされたとの事です。

聞き取りした内容から、Aさんは家族性高コレステロール血症(FH)ヘテロ接合体ではないかと想像します。FHは日本人の250人に1人程度の割合で存在する、遺伝子疾患です。

FHの人は幼少時からコレステロール値が高く、血管へのコレステロールの負荷がかかるため、未治療の男性で30~50歳、女性で50~70歳の間に心筋梗塞、狭心症などの冠動脈疾患の発症が多いと報告されています2)。

つまり、FHでない人と比べて、若くして心筋梗塞などを起こすリスクが高いため、治療の意義が高いと考えられます。それでは、どんな人がFHの可能性が高いのでしょう。

FHヘテロ接合体の診断基準は、次のようになります3)。
①高LDL血症(未治療時のLDL値180mg/dL以上)
②腱黄色腫、あるいは皮膚結節性黄色腫の存在。
③FHあるいは早発性冠動脈疾患の家族歴(2親等以内の血族)

上記2項目が当てはまる場合、FHと診断します。捕捉すると、
・LDLが250mg/dL以上の場合、FHを強く疑います。
・早発性冠動脈疾患は男性55歳未満、女性65歳未満と定義します。
・FHと診断した場合、家族についても調べることが望ましいです。

また、FHでは動脈硬化性疾患のリスクが高いため、生活習慣の改善を実施する前に、労作性狭心症の有無の問診、運動負荷心電図、心エコー検査によって、動脈硬化性疾患の評価を行います。

FH患者のLDL管理目標値は一次予防(心筋梗塞等の発症予防)が100mg/dL未満、あるいは未治療時の50%未満。二次予防(心筋梗塞等の再発予防)で70mg/dLとします。

FHは未治療の方が多い疾患です。家族歴のある方はぜひ診察を受けられて、もしFHと診断されたら、治療を受けられらる事をお勧めします。

1)Turin TC, et al. Lifetime risk of acute myocardial infarction in Japan. Circ Cardiovasc Qual Outcomes. 2010; 3: 701-3.
2)Mabuchi H, et al.: Circulation 79(2): 225-232, 1989
3)日本動脈硬化学会 編 : 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版, 杏林舎, 2012



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