オグサワ処方が2種類の抗生物質オーグメンチンとサワシリンを併用する理由。


オーグメンチンとサワシリンを併用する処方?

皆さんは次のような処方箋を見て、不思議に思った事はないでしょうか。

呼吸器科

オーグメンチンSR配合錠250 3錠
サワシリンカプセル250mg 3カプセル
1日3回

抗生物質のオーグメンチンとサワシリンが同時に処方されています。患者さんに、上手く説明出来たでしょうか。

これは、オグサワ処方と呼ばれ、「JAID/JSC感染症治療ガイド2014」にも市中肺炎のエンペリックセラピー、すなわち起因菌や感受性が不明な段階で使用する治療薬として記載されています1)。

ブログでは、細菌性肺炎の治療戦略について触れた後、オグサワ処方の意義について、書きます。

記事を読んで頂ければ、市中肺炎のオグサワ処方について、自信を持って説明出来るようになります。

肺炎の治療薬について

市中感染の細菌性肺炎でカバーすべき菌は?

市中で感染した細菌性肺炎の起因菌としては、肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスが多い事が知られています。

ですから、エンペリックセラピーでは上記の菌をカバーすれば良いことが分かります。

エンペリックセラピーって何?

培養をすれば、起因となっている細菌の特定が出来たり、抗生物質に対する感受性も分かるのですが、結果が出るまで時間がかかります。

そこで、エンペリックセラピー(経験的治療)と称して、起因菌を予測して、それら全ての菌と感受性をカバーした薬を処方することになります。

“オグサワ処方が2種類の抗生物質オーグメンチンとサワシリンを併用する理由。” の続きを読む

間欠型喘息にモンテルカストを短期に限って使用するエビデンスがある。

間欠型喘息に対するモンテルカストの短期使用については、220人規模のRCT、二重盲検、プラセボ対照のスタディがあります1)。

SABAのみ使用している2-14才の間欠型喘息の子どもを対象に実薬/プラセボを予め与え、喘息発作が起こったとき7日ないし発作が静まるまでモンテルカストを服用させました。

結果、プラセボに比して喘息による予期しない医療機関への受診が、オッズ比で0.65(95%CI;0.47-0.89)と有意に減少しました。専門家の受診と入院は統計的有意差はないが減少傾向がありました。

以下、論文アブストラクトの機械翻訳を掲載します。
「小児における断続的喘息の短期モンテルカスト:ランダム化比較試験。

比喩:小児では、断続的な喘息が最も一般的なパターンであり、大部分の悪化の原因となる。モンテルカストは、作用の急速な開始を有し、断続的に使用される場合に有効であり得る。

目的:断続的な喘息の小児におけるモンテルカストの短期間の経過が喘息の重症度を変えるかどうかを判断する。

方法:間欠性喘息を有する2歳〜14歳の小児は、この多施設無作為化二重盲検プラセボ対照試験に12ヶ月間参加した。モンテルカストまたはプラセボ治療は、上気道感染または喘息症状の発症時に両親によって開始され、最低7日間または症状が48時間続くまで継続した。

測定値と主な結果:合計220人の子供が無作為化され、107人がモンテルカストに、113人がプラセボにランダム化された。 202例の患者が治療を受けたエピソードは681件(モンテルカスト345件、プラセボ336件)であった。

モンテルカストグループは、プラセボ群の228例(163例、オッズ比0.65、95%信頼区間0.47〜0.89)と比較して、喘息に対する163件の予定外ヘルスケア資源利用率を示した。

専門家の出席と入院期間、エピソードの期間、ベータアゴニストとプレドニゾロンの使用は有意ではなかった。症状は14%減少し、夜間は8.6%(p = 0.043)、学校や託児では37%、休暇では33%(両者ともp <0.0001)で覚醒した。

結論:喘息エピソードの最初の徴候で導入された短期間のモンテルカストは、断続的な喘息の小児における急性の医療資源の利用、症状、学校の休暇、親の休暇の適時の減少をもたらす。」

1)Short-course montelukast for intermittent asthma in children: a randomized controlled trial. Am J Respir Crit Care Med. 2007 Feb 15;175(4):323-9. Epub 2006 Nov 16.  PMID:17110643 DOI:10.1164/rccm.200510-1546OC

Am J Respir Crit Care Med. 2007 Feb 15;175(4):323-9. Epub 2006 Nov 16.

オルベスコインヘラーをフルタイドエアゾールに変更する利点は何?メリットと注意点を解説しました。


オルベスコインヘラーをフルタイドエアゾールに変更する利点は何?メリットと注意点を解説しました。

はじめに

オルベスコインヘラー用にエアロチャンバーを購入してからも吸えていない

就学前の小児喘息の患児で、オルベスコを処方されたものの、コントロールの悪い子がいました。

エアロチャンバーの購入を勧めて、買って頂いてからも上手く吸入出来ていないようでした。

昨夜は咳がひどく、よく眠れなかったそうで、お母さんも憔悴した様子です。

オルベスコインヘラーはアルコールを含有し、アルコール臭が苦手だと使いづらい

話を聞いていると、アルコール臭が苦手で、吸入ステロイドのオルベスコが殆ど吸入出来ていない様子が分かって来ました。。

吸入ステロイドは喘息の治療として重要なので、吸えるようになれば症状も落ち着いて来るのではと考えました。

オルベスコインヘラーとフルタイドエアゾールの違いを比較

フルタイドはアルコールを含有しないので、代替薬になる

フルタイドエアゾールは、エタノールを含有しない製剤です。肺内への到達率はオルベスコの方が勝るので、セカンドラインの薬ですが、先ずは吸える事が優先と思いました。

処方医は主にオルベスコを処方されますが、何人かはフルタイドエアゾールも処方されているので、情報提供と処方提案をしようと考えました。

フルタイド変更による注意点がある

結果、フルタイドエアゾールに変更となりました。エアロチャンバーは、フルタイドにも使用する事が出来ます。

お母さんには、吸入が寝る前2吸入から朝夕1吸入ずつに変わること、吸入前に器具を振り混ぜること、120回吸入後はガスのみ噴霧されることなど、製剤変更による注意点を伝えました。

そして、今後は喘息の症状変化をフォローして行きましょうと話しました。

まとめ

オルベスコはアルコールを含有するため、臭いが苦手なお子さんがいらっしゃいます。

薬剤師としては、アルコールを含まないフルタイドエアゾールを提案し、変更に伴う注意点が説明出来るように知識を整理しておくのが大事だと思います。

エアロチャンバーなどのスペーサーを必要に応じて勧めましょう

また、エアロチャンバー等のスペーサー(吸入補助具)を必要に応じて購入して頂くのが良いと思います。小さいお子さんは、噴霧と吸入のタイミングを合わせるのが難しいので、補助具を用いることで吸入が出来るようになります。

処方提案にうってつけの本

今回スムーズに処方提案が出来て良かったです。紹介する書籍は吸入薬のことも書かれていて参考になりました。日頃から情報を仕入れて準備して置くことが何より業務の質を上げる為に大事です。この書籍は役に立つと思います。

「処方箋の”なぜ”を病態から推論する」を若手だけでなく中堅以上の薬局薬剤師にもお勧めしたい理由。

臨床研究の論文を読み始めた人にお勧めする3冊の書籍。

書籍紹介:薬剤師業務のさらなる展開 2006年版ハンドブック

「寄り道」呼吸器診療 呼吸器科医が悩む疑問とそのエビデンス [ 倉原優 ]書籍紹介

神戸大学感染症内科版TBL 問題解決型ライブ講義集中!5日間 [ 岩田健太郎 ]

健康格差と言う公衆衛生の問題を、ロールズ哲学の正義論で論じる書籍の紹介。

感染症を勉強するための書籍紹介。

日常診療に潜むクスリのリスク 臨床医のための薬物有害反応の知識 [ 上田 剛士 ]

“オルベスコインヘラーをフルタイドエアゾールに変更する利点は何?メリットと注意点を解説しました。” の続きを読む