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先日、ビオフェルミンのみ、7日分の処方箋を持って薬局に来られた患者さんがいらっしゃいました。50代の女性です。不安そうな様子で、こうおっしゃいました。「実は血便が出て、3日前に救急外来に行きました。その時は抗生物質もでていたけれど、今日は出ていないでしょう?まだうっすら血が混じるのに、大丈夫かしら?」
お薬手帳を見ると、広域抗生物質のクラビットと整腸剤のビオフェルミンが3日分、吐き気止めのプリンペランが頓服で3回分、処方されていました。
何らかの細菌による胃腸炎と診断された事が伺われます。熱もなく、腹痛もなく、重症感がないことを確認しました。
細菌の特定は出来ませんが、過去の食中毒の頻度の報告からは、鶏卵などによるサルモネラ、鶏肉などによるカンピロバクター、海産物による腸炎ビブリオなどが可能性が高いと考えられます。何れも、クラビットはある程度有効であり、そもそも免疫力が落ちる病気などがなければ、自然に回復する病気です。
患者さんには、このように声をかけました。「血便が心配なのですね。大丈夫です。血便は、サルモネラやカンピロバクター等のよくある食中毒でも起きることが有ります。抗生物質は有効ですが、あまり長く飲むと、腸の正常な細菌叢にも影響してしまいます。血便は治って来ている様子ですので、ビオフェルミンで様子を見て頂いて大丈夫と思いますよ。もし血便がひどくなったり、腹痛や熱が出た時には、また受診して下さいね。」
患者さんは、安心しましたと言って帰られました。不安な気持ちを抱いて処方箋を持って来られる患者さんは、少なくないと思います。私たち保険薬局の薬剤師が、その気持ちを安心に変えるお手伝いが出来れば、こんなに嬉しい事はありません。薬で治すのは病気ではなく、患者さんのLIFE(生活・人生)です。