レボフロキサシンは腎機能に応じて用法用量を調節すると、反復投与による血中濃度上昇がなく、有害事象の発生も少ない。

要点:レボフロキサシンは腎機能に応じて用法 用量を調節した方が副作用発現が少なく、有効 率も85%以上ある。シュミレーションでは、用 量調節をした場合、反復投与しても最高血中濃 度の上昇は無いが、調節しなかった場合、腎機 能中等度低下の患者は3日後に最高血中濃度が 1.5倍、高度低下は7日後に2.6倍まで上昇する。

レボフロキサシン(LVFX)のインタビューフォー ムには、市販後臨床試験の使用成績調査の結果 が記載されています。それによれば、腎機能低 下患者(Ccr<50mL/min)において、添付文書 に示されている用法・用量で調節した場合、用 量依存的と考えられる中枢神経系副作用は認め られなかったが、用法・用量を調節せず、 500mg、1 日1 回連日投与されていた症例に、 痙攣等の中枢神経系副作用が認められたことか ら、腎機能が低下している症例では添付文書の 記載に従い、腎機能に応じて用法・用量を調節 し投与すべきと考えられ、(中略)有効性解析 対象症例28,800 例における有効率は96.0%で、 呼吸器、尿路等の感染症領域別の有効率は 93.8%~97.6%であった。また、腎機能低下患 者で用法・用量を調節した場合でも85%を超え る有効率が確保されていた、との事です。1)

高齢者にレボフロキサシンを投与する場合、腎 機能に応じて減量することで副作用の頻度が有 意に減ると言う、岐阜市民病院における臨床研 究の報告があります2)。75歳以上の高齢者で LVFXを使用する際、薬剤師により腎機能を評価 し、 適切な投与量に調節しました。 上記介入を 行った142例と非介入群98例において、薬剤の 副作用頻度を比較しています。介入群における 副作用頻度は4.2%、非介入群では13.3%と有意 に介入群で副作用リスクは低下しました。論文 では、副作用頻度を下げるのみならず、副作用 対応にかかる費用の軽減効果も見込める、また 病院だけでなく、薬局でも可能な介入である、 と結論しています。副作用は介入群: 掻痒感2 例、黄疸、肝障害2例、下痢。非介入群: 悪心/嘔 吐脱力による転倒、結膜充血、掻痒感、下肢の 強張り、幻覚、紅斑下痢、痙攣などでした。

更に、薬物動態の観点からは、腎機能障害患者 における各種用法・用量によるシミュレーショ ンが参考になります。腎機能障害患者(Ccr< 50mL/min)におけるLVFXの用法・用量の調節 の目安として、反復投与時の血漿中濃度推移を 検討しています。20mL/min≦Ccr<50mL/minの 患者群においては、初回500mg投与後2日目以 降250mgを1日1回6日間反復投与、7日目にかけ て血漿中薬物濃度の上昇は見られませんでし た。また、CCr<20mL/minの患者群では、初回 500mg投与後3日目以降250mgを隔日3 回投与 により、血漿中薬物濃度は、1日目と7日目でほ ぼ同程度であり、濃度の上昇は認められません でした3,4)。

また、腎機能低下患者に常用量を反復投与した 場合、血漿中薬物濃度がどの程度上昇するか、 Guisti-hayton法と蓄積率を使用した結果を示し ます。20mL/min≦Ccr<50mL/minの患者の場 合、半減期が9.17時間から15.88時間に延長して いることから、Guisti-hayton法より補正係数 0.58であり、腎機能正常者と比して、単回投与 時のAUCが約2倍に上昇します。反復投与した 場合、半減期の5倍の79.4時間、すなわち3日で 定常状態に達し、その際の最高血漿中薬物濃度 は、蓄積率1/(1-exp(-0.693・24/16)=1.54よ り、およそ1.5倍に上昇すると推定されます。ま た、Ccr<20mL/minの患者の場合、半減期が 9.17時間から33.69時間に延長していることか ら、Guisti-hayton法より補正係数0.27であり、 正常者(50≦CCr)と比して、単回投与時のAUC が約4倍に上昇します。反復投与した場合、半 減期の5倍の170時間、すなわち7日で定常状態 に達し、その際の最高血漿中薬物濃度は、蓄積 率1/(1-exp(-0.693・24/34)=2.58より、およそ 2.6倍に上昇すると推定されます。

参考文献

1)堀 誠治ほか:日本化学療法学会雑誌 2011;59(6):614-633
2)Yachi T et al. Impact of levofloxacin dose adjustments by dispensing pharmacists on adverse reactions and costs in the treatment of elderly patients. Pharmazie 68: 977–982 (2013) PMID:24400446
3)クラビット錠添付文書・インタビューフォー ム
4)腎機能別薬剤使用マニュアル じほう社

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