授乳しているお母さんと、12歳未満の子どもさんのいる家は、家庭に置いてある市販の風邪薬に咳止め成分のコデインが入っていないか、確かめておきましょう。

授乳しているお母さんと、12歳未満のお子さんは、コデインの入っている風邪薬を避けて欲しい

コデインは咳どめで、市販の風邪薬にも多く含まれますが、2019年から12歳未満のお子さんは飲んではいけない薬になりました。

間違って飲んだらどんなリスクがあるのか、ご存知でしょうか?薬剤師や登録販売者のあなたは、お客さんに説明出来ますか?

このブログ記事では、コデインを避けた方がよい方と、その理由について説明します。

記事を読めば、薬剤師や登録販売者は、自信を持ってコデインを含まない風邪薬が必要なお客さんの対応が出来るようになります。

また、一般の方は、家にある風邪薬をチェックする時のポイントが分かるようになります。

コデインってどんな薬?

コデインは麻薬性鎮咳薬に分類される咳止めです。化学構造式も、モルヒネに類似しています💊

コデインは体内でモルヒネになるが、個人差が大きい

実際、コデインの一部は体の中でモルヒネに変換されます😲この変換をする酵素は、CYP2D6です。昨日のブログに書いたように、遺伝で酵素の働きの強さが決まっていて、変換が「めっちゃ早い」人がいます。

変換がめっちゃ早い人では、モルヒネの体内濃度が最大で80倍になったという報告もあります。当然、副作用が出やすくなります。

モルヒネの副作用は、「呼吸抑制」

海外の報告では、お母さんが飲んだ鎮痛剤にコデインが含まれていた為に、赤ちゃんが哺乳困難になった例があったり、国内の報告でも、市販の風邪薬を飲んだ子どもさんが、脳神経障害をきたしたと言う例があります😞

頻度は少ないが、結果が重大な副作用が起きる

CYP2D6の「めっちゃ早い人」は、実は日本人では1%未満と、ごく稀です。ですが、酵素の働きの強さは、普通分からないこと、そして結果の重大性を考えると、一律に避けた方がリスクマネジメントとして望ましいと思われます。

最近、大規模な疫学調査で、コデインと副作用の関連が調べられました。その結果、統計的な関連性は示されませんでした。有害事象の発生数が、ごく少なかった為でしょう。

その一方で、日本でも2019年以降、コデインは12歳未満の子どもさんに「投与してはいけない」薬として指定されます。結果の重大性を鑑みた為でしょう。

まとめ: 授乳しているお母さんと、12歳未満のお子さんは、コデインの入っている風邪薬を避けて欲しい

わたしからアドバイスを書かせて下さい💆みなさんの家庭に置いてある風邪薬を見て下さい。パッケージに小さい字で薬の成分が書いてあります。

もしそこに、「コデイン」の文字があったら、授乳している赤ちゃんのいるお母さん、12歳未満のお子さんには、飲ませないで下さい。これで不要なリスクを回避出来ます🙆✨

読んで下さってありがとう😆💕✨
ゆきでした✨

薬剤師の仕事に興味を持ったあなたに、全力でお勧めのコミックがあります‼☺

購入は⬇から。もちろん送料は無料です📚✨


⬇家にある風邪薬にコデインが入ってないか、調べておこう、と思って下さったあなた、バナークリックをお願いします✨

にほんブログ村 病気ブログ 薬・薬剤師へ
にほんブログ村

自分だけ知ってるのはもったいないと思って下さったあなた、⬇のSNSボタンでシェアをお願いします😉

適度な塩分摂取制限は、血圧をー5mmHg程度低下させる効果がある。

適度にナトリウムを制限すると、高血圧患者の収縮期血圧を4.9mmHg、拡張期血圧を2.6mmHg減少させることが、無作為化臨床試験のpooled analysisで明らかにされています1)。

この知見は、観察的疫学研究の結果と非常に一致しており、血圧管理の予防戦略にも意味がある、と論文で結ばれています。

以下、論文のアブストラクトの機械翻訳です。

「収縮期血圧および拡張期血圧に及ぼす影響を試験し、その大きさの正確な推定値を提供するために、我々はヒト被験者におけるナトリウムの摂取量を減らすことを目的としたランダム化臨床試験の概要を実施した。

私たちは、混乱した設計、人口の通常の範囲を超えた摂取量を比較したもの、および公表されていない報告をしたものをプールした分析試験から除外しました。

2人の査読者が情報を二重に抽出し、相違点を調整しました。 1,536人の被験者の集計からの結果データを有する23件の試験が含まれていた。データは、高血圧と正常血圧の被験者と、すべての試験を合わせて別々にプールした。

サンプルサイズの重み付けを用いた場合、高血圧患者では4.9±1.3 / 2.6 +/- 0.8mmHg(収縮期および拡張期、95%信頼限界) – 正常血圧の被験者では1.0 / 1.0 +/- 0.7mmHg。合併した血圧低下は、2.9±0.8 / 1.6 +/- 0.5mmHgであった。

これらの変化は、個々の試験で尿中ナトリウム排出量の平均減少が16〜171mmol / 24hrに及ぶことと関連していた。正常血圧および高血圧の被験者の両方において、試験間の用量反応関係が見出された。

これらの結果は、ナトリウムの減少が、高血圧および正常血圧の両方の個人において、少なくとも数ヶ月間平均血圧を低下させることを示している。この知見は、観察的疫学研究の結果と非常に一致しており、血圧管理の予防戦略にも意味がある。」

1)An overview of randomized trials of sodium reduction and blood pressure. PMID: 1987008

塩分を摂りすぎると、血圧が高くなると言うのは本当でしょうか?

こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は家族でイオンに行きました。映画は見なかったのですが、モーリーで遊んで、買い物をして帰りました。娘に新しいアウターが買えて良かったです。

さて、今日は栄養疫学の話です。減塩が高血圧の予防に良いとよく耳にします。世界保健機構(WHO)からも、一日摂取量を6gとする勧告があります。一体、何かの裏付けがあるのでしょうか?

今回紹介する疫学研究では、生涯の累積塩分摂取量が血圧と相関を示した、と報告しています。

研究では、32ヵ国52の地域に住む20歳から59歳の合計1万人を対象にナトリウムの尿中排泄量と血圧が測定されました。食塩摂取量と血圧上昇量には密接な関係があり、1日辺り1gの食塩摂取で1歳年を取ると、0.058mmHgだけ血圧が上がると言う結果でした1)。

この仮説に従って試算してみます。日本人の平均塩分摂取量は1日辺り11gなので、20歳でのsBP120とすれば、60歳ではsBP145程度まで上昇する計算になります。もしWHOの推奨する6gに留めれば、60歳でのsBPは134程度に留まると試算されます。

あくまでも摂取量と相関が見られただけで、減塩すると血圧が下がるかは、介入試験の結果を待たねば行けませんが、試す価値はありそうです。

いかがでしたか。皆さんの健康を守るための参考になさって下さい。

以下、アブストラクトの機械翻訳です。「24時間の尿中電解質排泄量と血圧との関係を、観察者の中央訓練、中央検査室および広範な品質管理を伴う高度に標準化されたプロトコールに基づいて、世界中の52のセンターからサンプリングした20〜59歳の男性および女性10,079人で調べた。

電解質排泄と血圧との関係を各センター内の個々の被験者で調べ、これらの回帰分析の結果を全52のセンターについて集めた。集団中央値電解質値と集団血圧値との関係も、52のセンターにわたって分析された。

ナトリウム排泄量は、0.2mmol / 24h(Yanomamo Indians、Brazil)から242mmol / 24h(中国北部)の範囲であった。個々の被験者(センター内)では血圧に有意に関連していた。

4つのセンターでは、ナトリウム排泄量が非常に低く、低血圧で、年齢とともに血圧の上昇傾きがほとんどまたはまったくないことがわかった。他の48のセンター間で、ナトリウムは、年齢とともに血圧の傾きに有意に関連したが、血圧の中央値または高血圧の罹患率には関連していなかった。

カリウム排泄は、交絡変数の調整後、個々の被験者の血圧と負の相関があった。センター間で一貫した関連性はなかった。

ナトリウム対カリウム比と血圧との関係は、ナトリウムと同様のパターンを示した。肥満指数およびアルコール摂取量は、個々の被験者において血圧と大きく独立した強い関係を有していた。」

参考文献
栄養データはこう読む!佐々木敏 女子栄養大学出版部
1)Intersalt: an international study of electrolyte excretion and blood pressure. Results for 24 hour urinary sodium and potassium excretion. Intersalt Cooperative Research Group. PMID: 3416162

米国の家族性高コレステロール血症(FH)および重度の脂質異常症(severe dyslipidemia)患者

米国の家族性高コレステロール血症(FH)および重度の脂質異常症(severe dyslipidemia)患者のうち、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが最も高いのは、健康保険未加入かつ、かかりつけ医をもたない若年集団でした。

FHおよび重度の脂質異常症におけるスタチン低使用率の要因検討のため、NHANESの1999~2014年のデータから FH(definite/probable)* および重度脂質異常症** の成人(≧20歳)42,471例を同定しました。

米国全体におけるスクリーニング受検率、高コレステロール血症に対する認識率およびスタチン治療率を推算しました。また、認識率およびスタチン治療と相関する社会人口学的および臨床的要因も検討しました。

全米の推算罹患率は、重度脂質異常症: 6.6%[標準誤差(SE)0.2%]、definite/probable FH: 0.47%(0.03%)でした。

一般集団とくらべ、definite/probable FHでは米国出生、糖尿病または高血圧症の合併、早期ASCVDの既往または家族歴が多く、重度の脂質異常症ではFHの有無にかかわらず、高齢で肥満合併が多くみられました。

FHおよび重度の脂質異常症ともに、スクリーニング受検率および認識率は高い(>80%)が、スタチン使用率は低いと言う結果でした[FH: 52.3%(8.2%),重度の脂質異常症: 37.6%(1.2%)]。

ただし、一般集団も含めたすべての集団でスタチン使用率は経時的に増加していました。認識率およびスタチン治療率に共通の独立した関連因子は、加齢、かかりつけ医の存在、糖尿病罹患、早期ASCVD既往でした。

その他の関連因子は、認識率では非貧困、肥満、スタチン治療率では健康保険加入、高血圧症罹患でした。人種、教育水準、出生地との関連は示されませんでした。

スクリーニング受検率と治療率との相違は、健康保険未加入かつ、かかりつけ医をもたない若年患者(20~39歳)で最も顕著でした[若年患者における過去5年間のスクリーニング受検率(自己申告)62%,認識率(自己申告)64%、スタチン使用率(記録ベース)13%]。

一方≧60歳のスクリーニング受検率および認識率は>85%、スタチン使用率(記録ベース)は51%でした。スタチン治療率は最近スクリーニングを受検した健康保険未加入者で29%だったのに対し、加入者では48%でした。

* 修正版Dutch Lipid Clinic基準により同定。
** FHの有無にかかわらず脂質低下薬使用で補正後もLDL-C≧190 mg/dL

参考文献
(Bucholz EM, et al: Prevalence and predictors of cholesterol screening, awareness, and statin treatment among US adults with familial hypercholesterolemia or other forms of severe dyslipidemia(1999-2014). Circulation. 2018; 137: 2218-30.)PubMed

1999~2012年の米国人のFH有病率-250人に1人がFHと推定。

米国国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)は疾病対策センター(Center for Desease Control and Prevention: CDC)下の国立健康統計センター(National Center for Health Statics: NCHS)によって行われている調査です。

米国民の健康状態、栄養状態を定期的に調査し、面接による人口動態学的データ、社会経済学的状況、食事、健康状態の聞き取りのほか、医学的諸検査、身体測定を行っています。これらのデータは、主要疾患、疾患発症危険因子の有病率、栄養状態の把握とその健康増進、疾病予防との関連の検討に供されています。

今回は、表題の通り、米国におけるFHの有病率(有病割合)を調査した研究を紹介します。1999~2012年の米国人のFH有病率の調査では、250人に1人がFHと推定されました。性差はありませんでしたが、高齢者・肥満者に多く、人種差が認められました。

1999~2012年に参加した20歳以上の36,949人において、家族性高コレステロール血症(FH)の有病率を推定したところ、probable/definite FH(Dutch Lipid Clinic基準)の有病率は0.40%(250人に1人;≧20歳人口の2億1千万人に当てはめると83万4,500人)でした。性差は認められませんでしたが、年齢差(0.06%[20代]~0.85%[60代])、人種差(白人0.40%,黒人0.47%,メキシコ系米国人0.24%、その他のヒスパニック0.58%、その他0.29%)があり、肥満者が高い(0.58% vs 非肥満者0.31%)と言う結果でした。FH患者20歳以上の一般住民に比べて早発性アテローム性心血管疾患の家族歴保有・既往者(>50%)が多く、ほとんどが脂質治療を受けていました(81%)。

この報告を読むと、FHの有病割合は米国と日本で似通った数字(250人に1人)であることが判ります。

参考文献
(de Ferranti SD et al: Prevalence of Familial Hypercholesterolemia in the 1999 to 2012 United States National Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES). Circulation. 2016; 133: 1067-72.)。PubMed

フリーで全文が読めます。

https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/CIRCULATIONAHA.115.018791

妊娠中のアセトアミノフェンとNSAIDsの安全性

アセトアミノフェンは、FDA薬剤胎児危険度分類基準でB:人での危険性の証拠はない、妊娠の全ステージにおいて比較的安全に使用出来る薬剤です。

添付文書に妊娠末期の動脈管収縮リスクが記載されていますが、根拠としている動物実験はラットに常用量の15倍を投与したデータであり、ヒトに常用量を投与した観察研究では結論が出ていません。

胎児性動脈管早期閉鎖は全分娩の0.6%に生じ、その2/3以上は特発性との報告があります。母体にアセトアミノフェンの服用歴があったとしても、因果関係があるとただちに結論する事は困難です。

また妊娠初期にアセトアミノフェンに曝露した9146例において、奇形等の増加は認められませんでした。1)

NSAIDsには流産リスクの報告があります。

米国カリフォルニア州のコホート研究で、妊娠中にイブプロフェン、ナプロキセンを服用した場合、20週までの流産リスクが1.8倍に高まりました。

特に妊娠初期や1週間以上の長期服用では、5.6~8.1倍と大幅にリスクが高まる結果でした。

一方で、アセトアミノフェンでは流産の相対リスクは1.2(95%CI:0.8-1.8)、妊娠1週間以内の服用と1週間以上の服用でも相対リスクはそれぞれ、0.8倍、0.7倍で、すべて有意差はありませんでした。

研究グループは妊娠を望む女性は妊娠初期のアスピリンやNSAIDsの服用は避けるべきと警告しています。2)

1)Perinatology.com/Drugs in Pregnancy and Lactation(Briggs GG)
2)Exposure to non-steroidal anti-inflammatory drugs during pregnancy and risk of miscarriage: population based cohort study BMJ 2003.8.16

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

実践妊娠と薬第2版 10,000例の相談事例とその情報 [ 林昌洋 ]
価格:14040円(税込、送料無料) (2018/9/20時点)

 

 

OATP1を介したスタチンの相互作用と横紋筋融解症リスク。

横紋筋融解症の発症リスクはスタチン単独療法で低く、アトルバスタチン、プラバスタチン、およびシンバスタチンで0.44/10,000人年と報告されています。スタチンにフィブラートを併用すると、特に高齢の糖尿病患者でリスクが増加するのが観察されました。発売中止となったセリバスタチンは発症リスクが高く、単独で5.34/10,000人年でした。また、アトルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチンとフィブラートとの併用療法では5.98/10,000人年とリスクが上昇し、特にフィブラートと組み合わせたセリバスタチンは1,035/10,000人年の発症をもたらしました1)。

基礎研究の知見から、セリバスタチンによる横紋筋融解症は、SLCO1B1遺伝子によってコードされる肝取り込みトランスポーターOATP1B1の遺伝子変異、及びOAT1B1を介した相互作用の関与が想定されています2)。また、大規模なコホート研究で、プラバスタチンを含むCYP3A4で代謝されないスタチン内服患者におけるクラリスロマイシンの安全性の検討がありました。結果、アジスロマイシンに比して急性腎傷害による入院を1.65倍、高カリウム血症による入院を2.17倍、全死亡リスクを1.43倍有意に増加させました。理由として、肝取り込みトランスポーターOATP1B1とOATP1B3がクラリスロマイシンにより阻害される機序が考えられています3)。ただ、クラリスロマイシンの海外用量は1,000mg/dayですので、外的妥当性の解釈には注意が必要です。

スタチンとOATP1を阻害する薬剤の併用は慎重を期した方が良いかも知れません。新規薬剤では、心不全に適応のあるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害剤サクビトリルと、アトルバスタチンの併用による横紋筋融解症が報告されています。カナダの添付文書には、併用によりアトルバスタチンのCmax2倍、AUC1.3倍に増大させること、サクビトリルがOATP1B1および1B3を阻害することが記されています4)。

最後に、横紋筋融解症を回避する為のマネジメントについて触れておきます。米国のStatin Muscle Safety Task Forceのアルゴリズムでは、スタチンを休止するCKの判断値を正常上限値(upprr limit of the normal range:ULN)の3倍としています。日本臨床化学会(JSCC)の標準化対応法によるCKの基準値は男性55~204IU/L 女性42~164IU/Lですが、試薬や機器によっては若干異なるため、上限値(ULN)を250とする施設もあります。ULNを200IU/Lとすると600IU/Lが判断値となります。CK≦3xULNであれば継続投与し、CK>3xULNまたは筋症状があれば2~4週間休薬して経過を見ます。休薬によって症状が改善した場合、その薬を中止・他のスタチンを低用量で投与開始し、とくに異常がなければ最大容量または目標とするLDL値が得られるまで増量するとしています。

1)Incidence of hospitalized rhabdomyolysis in patients treated with lipid-lowering drugs. PMID:15572716
2)OATP1B1-related drug–drug and drug–gene interactions as potential risk factors for cerivastatin-induced rhabdomyolysis PMCID: PMC3894639
3)Risk of adverse events among older adults following co-prescription of clarithromycin and statins not metabolized by cytochrome P450 3A4. PMID: 25534598
4)Rhabdomyolysis After Coadministration of Atorvastatin and Sacubitril/Valsartan (Entresto™) in a 63-Year-Old Woman PMCID: PMC5089965

抗てんかん薬の催奇形性、特に神経管開存は葉酸代謝阻害が一因と考えられ、妊娠前からの葉酸服用を指導する必要がある。

要点:抗てんかん薬の催奇形性、特に神経管開存は葉酸代謝阻害が一因と考えられ、妊娠前からの葉酸服用を指導する必要がある。

バルプロ酸(VPA)による特徴的な奇形として、二分脊椎が1~2%の頻度発生した事が報告されています。VPAの催奇形の危険度は投与量・血中濃度と相関があり、血中濃度が70ug/mL以下ではリスクの増大が見られない為、治療上可能であれば、この濃度以下に維持する事の重要性が指摘されています。過去に、てんかん妊婦938例の妊娠について調査が行われ、抗てんかん薬に暴露されたてんかん妊婦の児の奇形発生率は9.0%でした。VPA用量は奇形発生率と相関があり、VPA濃度が70ug/mL以上では奇形発生率は41.7%(5/12)、70ug/mL未満では6.3%(3/48)でした1)。

バルプロ酸ナトリウムによる先天性の奇形の発症頻度は、1日服用量が1,500mg以上ではオッズ比が10.9だったのに対して、1日服用量が1,500mg以下では3.7だったとの疫学調査が報告されています2)。別の研究者は、バルプロ酸ナトリウムの1日服用量が600mg以下では、1,000mg以上と比較して胎児の先天異常のリスクは有意に少なかった事を報告しています。

ヨーロッパにおける5つの前向き研究に蓄積された1,379例の児のデータが再分析されている。バルプロ酸の1日服用量が>1,000mg以上では、≦600mg服用群と比較して、先天大奇形MCA(特に神経管欠損)の有意なリスク増加が見られました3)。[RR:6.8, 95%CI: 1.4-32.7]

日本てんかん学会のガイドラインでは、妊娠前から葉酸の補充を行うこと、抗てんかん薬と葉酸の血中濃度を測定する事が勧告されています。「てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン」によれば、妊娠前の発作の抑制として、必要最低限の抗てんかん薬単剤で試み、VPAは1,000mg/日以下が望ましい、とされています。また、血中濃度に依存して奇形発現率が増加するので、なるべく徐放剤を用いることが推奨されます。

抗てんかん薬の催奇形性、特に神経管開存は葉酸代謝阻害が一因と考えられています。葉酸補充が催奇形の頻度を減少させるかは必ずしも明らかになっていませんが、抗てんかん薬内服の場合は、妊娠前から1日5mgの葉酸の服用が推奨されています。抗てんかん薬服用中の葉酸の効果はまだ十分なデータはありませんが、一般集団では葉酸の0.4mg/日の服用によって、神経管開存の70%程度が防止出来ることが報告されています4)。

葉酸の摂取による胎児奇形の発症防止は、妊娠4週から7週末までの絶対過敏期(ほぼ妊娠2ヶ月に相当する)にしか有効に働きません。この時期に入った事は、基礎体温を記録しながら余程慎重に見ていなければ気づかれないので、葉酸を効果的に投与するには、妊娠前からの服用を指導する必要があります。

参考文献
「実践 妊娠と薬 第2版」
1)Congenital malformations due to anti epileptic drugs. Epilepsy Res, 33(2-3): 145-158. 1999

2)Antiepileptic drug use of women with epilepsy and congenital malformations  in offspring. Neurology, 64(11): 1874-1878, 2005
3)Material use of Antiepileptic drugs and the risk of major congenital malformations: a joint European prospective study of human teratogenesis associated with maternal epilepsy. Epilepsia, 38(9): 981-990, 1997

4)Recommendation for the use of folic acid to reduce the number of cause of spina bifida and other neural tube defects. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 49: 513-516, 1991

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

実践妊娠と薬第2版 10,000例の相談事例とその情報 [ 林昌洋 ]
価格:14040円(税込、送料無料) (2018/9/20時点)