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Aさんは不整脈でピルシカイニドと言う薬を飲んでいます。処方箋では、1日3回ですが、主治医の了解のもと、1日2回で、動悸のある時だけ、3回飲んでいるそうです。
ピルシカイニドは腎消失型と言って、要らなくなった薬はおしっこから出て行きます。ですから、飲む量や回数は、飲む人の腎機能に応じて調節しています。そして、腎機能は歳をとるにつれて衰えていくので、若い頃にちょうど良かった量が、歳をとって減らさないといけなくなる事があります。Aさんも、狭間にいるのかも知れません。
薬には、効いている量と効き過ぎになる量の幅が、広いものものあれば狭いものもあって、幅が狭い薬は、飲む量や回数に注意が必要です。ピルシカイニドは注意が必要な薬に入ります。
ですから、ピルシカイニドが初めて処方された時は、私達薬局薬剤師も特別な注意を払っています。直接ピルシカイニドの血中濃度を測る事も出来ますが、まだ飲んでいないので、患者さんの身長、体重、腎機能から、適切な量を推定します。腎機能は、血液検査の血清クレアチニンと言う検査値から推定します。
血清クレアチニン値が分からない時は…年齢から腎機能を推定します。体格が分からない時は…国の統計から、その年齢の標準的な身長、体重を得て、利用します。推定値ですから、あくまでも、これくらい…と言う目安です。
ですから、皆さん、薬局で腎機能の検査値や身長、体重を聞かれた時は、教えて下さい。安全に薬を飲むために必要な情報ですので、ご協力をお願いします。検査値なんて分からない、と言う方は、病院でもらう検査値の紙を、お薬手帳に糊で貼って下さい。何かの折りに、きっと役に立つと思います。