アンサングシンデレラ「近くて遠い目の前」でも取り上げられた、ハチ毒アナフィラキシーの救命とβ遮断薬の関係

スズメバチに刺された場合、β遮断薬を飲んでいる人は救急隊員にその事を必ず伝えたいと言う話

初夏の頃からスズメバチに刺される事故が増えます😭🐝
血圧低下などのアナフィラキシーショックを起こす場合があり、エピネフリンによる治療を受けるのですが、飲んでいる薬によってはエピネフリンが効きにくい場合があります。💉😲

病院薬剤師がヒロインのコミック「アンサングシンデレラ」でも、このエピソードが取り上げられていました👩

今回のブログで、ハチ毒アナフィラキシーの治療と注意の必要な薬について触れたいと思います✨

スズメバチは7~10月がとくに危険な時期

スズメバチの活動期は5~11月ですが、新しい女王蜂が巣を作って子育てをする7~10月はスズメバチの気が荒くなるため、刺される事故も多く、特に注意が必要です🐝

スズメバチに刺された時はエピネフリンを治療に用いる

アナフィラキシーショックに対しては、エピネフリンが治療の第一選択薬です1)。救急隊員によるエピペンの筋注や、病院での救命医による静注が行われます💉

β遮断薬を飲んでいるとエピネフリンの効果が出にくい

β遮断薬は、肥満のある高血圧の人、心不全のある人、不整脈のある人、心筋梗塞後の人が飲む心臓の薬です。💊✨

β遮断薬を内服していると、エピネフリンのβ作用が発揮されずα作用のみが発揮されます😲

この結果、エピネフリンの効果が出にくくなります。β遮断薬を内服していると、アナフィラキシーが重篤化する危険性があると言う報告があります1)😭

エピネフリンの増量やグルカゴンの併用が有効

β遮断薬内服中の患者であっても、アナフィラキ シーショックに対する第一選択薬はエピネフリンです💉

通常の2〜5倍量のエピネフリン投与が必要と言われています。💉➡💉💉💉💉💉

エピネフリンの効果が不十分な場合、グルカゴンが有効とする報告も散見されます1)✨

まとめ:山歩きの際もお薬手帳を持参しましょう

スズメバチに刺されて、低血圧などのショック状態では、搬送に来た救急隊員に飲んでいる薬を伝えることは難しいかも知れません😥

お薬手帳があれば、それを必ず確認しますので、β遮断薬を飲んでいる人が山歩きをされる際は、お薬手帳を携帯するようにしましょう😉

参考文献1)アナフィラキシーショックの治療にβ遮断薬が影響を及ぼし 心肺停止に陥った1症例
日集中医誌.2010;17:207~210.

付録

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薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本帯より)その2

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薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本カバーより)

68歳のAさん(仮)は進行性急性糸球体腎炎で通院されている患者さんです。

ある時、循環器内科からリクシアナ錠60mgを含む処方せんを持って来られました。心房細動のため、開始になったとのことです。

過去のデータから、Aさんは体重52kg、クレアチニンクリアランス(CCr)32.7mL/minであることを把握していました。

Aさんのリクシアナ錠60mgは、このまま調剤してよいのでしょうか?

リクシアナ錠60mgは、体重60kg以下または腎機能が中程度低下していると30mgに減量が必要

エドキサバン(商品名リクシアナ)の添付文書には、次のように書かれています。

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制:エドキサバンとして次の用量を1日1回経口投与する。

体重60kg以下:30mg。
体重60kg超:60mg。なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。

体重60kgを超える患者のうち、次のいずれかに該当する患者には、30mgを1日1回経口投与する:(中略)

(2)非弁膜症性心房細動の虚血性脳卒中発症抑制で30≦Ccr[mL/分]≦50及び非弁膜症性心房細動の全身性塞栓症発症抑制で30≦Ccr[mL/分]≦50(以下略)

つまり、体重60kg以下、またはCCr:30~50mL/minでは、エドキサバン(商品名リクシアナ)は30mgに減量が必要と言うことです。

Aさんは、このどちらも満たしているので、病院に連絡してリクシアナの減量の必要性の確認をしようと考えました。

1回目の疑義照会で腎機能を伝えるが、看護師さんから処方医に取り次いでもらえなかった

「お世話になっております。AさんのCCr32.7と以前伺っています。減量基準に相当すると思われるのですが。」

「本日検査して、腎機能は改善が見られてますけれど。」

「よろしければ数値を教えて頂けませんか?」

「クレアチニン1.45、eGFR39です。」

なんだか雲行きが怪しく、処方医に取り次いでもらえなさそうです。その後もう少しやりとりが続き、電話は終わってしまいました。

2回目の疑義照会で、体重を伝えることで処方医に取り次がれ、リクシアナ30mgに減量

薬局内で他の薬剤師にも相談しましたが、今日の検査値で計算してもCCr35.9mL/minとなり、依然、減量基準に該当します。

腎機能でなく、体重で疑義照会してみたら、と言うアイデアをもらい、もう一度疑義照会することにしました。

「度々申し訳ありません。Aさんの体重52kgと伺っています。リクシアナは添付文書では60kg以下で30mgに減量と書かれているので、減量基準に該当すると思うのですが。」

1回目とは違う看護師さんで、処方医に取りついでもらえました。結果、リクシアナ錠30mgに減量となりました。

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無事、薬をお渡しすることが出来ました。ご家族のお話しでは、現状でもあざが出来やすい傾向があるそうです。

もし減量しないでリクシアナ錠60mgを飲んでいたら、出血リスクがあったかも知れません。

リクシアナの臨床試験であるENGAGE AF-TIMI 48関連の論文を見ると、腎機能に応じて低用量にしても、効果はワーファリンと比べて見劣りしません。

リクシアナの特徴は頭蓋内出血が少ないことなので、規定以上の量を飲むと、薬の良さを消してしまう可能性があります。

薬剤師は、医師の処方に唯一法律的に異議をとなえることが出来る職種です。

安全な薬物療法を提供することは、薬剤師が患者さんに負っている責任です。

今回の事は、処方せんの内容に疑問があれば、臆することなく疑義照会をしようと改めて考えさせられた出来事でした。

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薬剤師なら知っておきたい、高齢者がガスターを飲む場合は減量が必要と言う話✏

こんばんは🌙😃❗健康生活アドバイザー、アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です✨

今日はこんな話をします。

高齢者がガスターを飲む時には、量を減らして飲む必要がある

市販薬で有名なガスター10ですが、病院で処方されるのはガスター20と、倍の有効成分が入っています。

市販薬は、わたしたち消費者が安全に使用出来るよう、医療用の薬より有効成分が少ない場合があります。

高齢の方のガスターは、どれくらいの量が安全❔

先日、90歳女性Aさん(仮)に内科医院から、次のような薬が追加されました。

ファモチジン10mg 2錠 1日2回 朝食後・寝る前

ファモチジンは、ガスターの成分表記です。添付文書には、次のように書かれています。

「腎機能低下患者への投与法:ファモチジンは主として腎臓から未変化体で排泄されるが、腎機能低下患者にファモチジンを投与すると、腎機能の低下とともに血中未変化体濃度が上昇し、尿中排泄が減少するので、次のような投与法を目安とする。

[1回20mg1日2回投与を基準とする場合]60mL/min>Ccr>30mL/min:1回20mg1日1回又は1回10mg1日2回」

ガスターは腎臓の働き具合で量が決まる

CCrはクレアチニン・クリアランスの略号で、腎機能の指標となります。ファモチジンの投与量は、CCrに応じて調整するように定められています。

Aさんの腎機能はデータが不明ですが、年齢からはCcr30mL/min程度ではないかと予想されました。

この予想は、腎機能は20歳の正常値100mL/minから、1年毎に1mL/minづつ低下すると仮定することで得られます。

これらの情報から、Aさんにとって安全なガスターの量は、内科医院の処方箋の通りであることが分かります。

高齢者は生理機能が低下しているので、若年・壮年者と比べて薬にも特別な注意が必要

ビアーズ基準について

高齢者に安全に薬を使用することが出来るように、定められた基準が幾つかあります。

有名なものは、ビアーズ基準で、マーク・ビアーズによって提唱された潜在的に不適切な医薬品の使用を認識する、それに合致した薬の一覧です。

薬の事情は国毎に異なる為、ビアーズ基準には日本版があります。

そこではガスターに代表されるH2ブロッカーには、せん妄リスクあり重篤度:高としています。

ガスターが高齢者に注意が必要な理由

ファモチジンが体内から排泄される時間の目安である血中消失半減期は、若年の場合2.6時間程度ですが、腎機能障害があると半減期は延長し、20時間を超えることもあります。

したがって、もし減量しなければ、血中濃度が非常に高くなることが予想されます。

またファモチジンよる精神症状は、基礎疾患のある高齢者に出現しやすく、その状態はいわゆる痴呆状態に類似しているとされます。

ある症例報告1)では、ファモチジンを高齢者に投与する際には、特に注意深い経過観察が必要であると結論しています。

Aさんはどうしたらよいでしょう?

Aさんの場合も、ガスター20ではなく低用量のガスター10を服用し、せん盲などが起こらないか、経過を見守る事が必要と考えられました。

また、今夜血液検査を行った場合は、血清クレアチニンやCCrなどを確認し、腎機能とガスターの用量を再評価したいです。

読んで下さってありがとう☺
ゆきでした。

参考文献
1)「Famotidineにより抑うつとせん妄を呈した1症例」 光風会三光病院精神科 臨床精神医学 29(12): 1617-1623, 2000.

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薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本帯より)その2

帯状疱疹で92歳の女性Aさん(仮)にバルトレックス錠500mg 6錠 分3 毎食後が処方されました。

体格は、身長140cm、体重40kgと小柄です。体表面積(BSA)は1.24m2です。

Aさんの処方箋は、このまま調剤して良いのでしょうか?

高齢の人はバルトレックスを減量する必要がないかチェックが必要

バルトレックスは腎臓で濾過されて、尿に排泄されます。腎機能は年齢とともに衰えるので、高齢の方は減量しなくて良いか、チェックが必要です。

血液検査の結果をスキャンしたものが電子薬歴にありましたので、Aさんの腎機能が確認出来ました。

標準化eGFR47mL/分/1.73m2でした。

標準化eGFRは、体格を反映した個別eGFRへの変換が必要

標準化eGFRは、体表面積1.73m2に標準化して表記した腎機能です。

そのため、Aさんの投与量を決めるためには、体表面積の補正を外し、個別eGFRを求めなければいけません。

Aさんの個別eGFRは、34mL/分でした

個別eGFRは、添付文書のクレアチニンクリアランスに近似できる

詳しい説明は省きますが、個別eGFRは添付文書のクレアチニンクリアランス(Ccr)に近似するので、読み替えることが出来ます。

バルトレックスの添付文書を見ると、クレアチニンクリアランス49~30mL/分では1000mg 12時間おき、記載されています。

減量が必要と判断、処方医への疑義照会でバルトレックスが減量となった

Aさんの場合も減量が必要と判断した為、処方元の医院に照会しました。

照会後、バルトレックス錠500mg 4錠 分2 朝夕食後に変更となりました。

バルトレックスを減量することで、アシクロビル脳症のリスクを低減出来たと思います。

減量がスムーズに出来たのは、普段から良好なコミュニケーションがあったから

Aさんのバルトレックスの減量は、教科書に書かれているようにスムーズに行えました。

これは、薬局で普段から良好なコミュニケーションがあって、血液検査の結果や、身長・体重と言った基本情報が分かっていたからです。

薬物療法のリスクを最小に、効果を最大にするのが薬剤師の仕事

この記事を読まれた方は、処方箋が常に万全ではなく、時に修正が必要なこと、その判断には血液検査の結果や体格が重要なことを分かって頂けたと思います。

薬剤師は、薬を飲む方にベストな薬物療法を提供するのが仕事です。

その為に検査値や体格の情報が必要です。

お薬手帳に検査値などを貼って、有効活用しましょう

安全に効果的に薬を飲むために、お勧めするのはお薬手帳の活用です。

病院でもらった検査値の紙は、お薬手帳に貼っておきましょう。身長や体重も、お薬手帳に記入しておきましょう。

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同じ病気でも、治療に使うお勧めの薬が、年齢によって異なる場合がある、と言う話✏

こんばんは🌙😃❗アロマ薬剤師🌿ゆき🌿です🙆✨

令和が始まりましたね💆気が引き締まる思いがします。どうかよい時代になりますように🙏

さて、今夜は同じ病気の治療でも、年齢によって治療薬が異なる場合がある、と言うお話です。

そんなことあるの❔😲

と言う声が聞こえて来ました。あるんです。わたしが具体例に考えたのは、女性の急性膀胱炎です。

治療には抗生物質を使用します。みなさんも一度や二度は飲んだことがあるのでは、と思います☺何を飲んだか覚えていますか❔

成書で推奨している抗生物質は、閉経前ならレボフロキサシン(商品名クラビット)3日間、また閉経後ならセフカペン(商品名フロモックス)7日間です1)。

ガイドライン推奨の薬なので、このどちらかを飲まれたのではと思います☺

なぜ同じ膀胱炎なのに、治療薬が変わるのでしょう❔

それは、二つの理由があります📚✨

①同じ膀胱炎でも、患者さんの年齢によって原因となる(可能性の高い)菌が異なる。

②ターゲットにする菌(複数の可能性を折り込み済み)に応じて、それらの菌全てをカバーして、その他菌にはなるべく影響しない抗生物質を選ぶ必要がある💊

専門的になりますが、閉経前は感受性のよい(耐性菌でない)大腸菌と腐性ブドウ球菌などが起因となる事が多く、閉経後はレボフロキサシンに耐性、セフカペンなどセフェム系に感受性のよい大腸菌が起因となる事が多いです。

それに応じて、閉経前はレボフロキサシン、閉経後はセフカペンが第一選択になる訳です🙆✨

いかがでしたか❔

同じ病気でも、年齢によって薬が変わる事がある、というお話でした🙆✨

読んで下さってありがとう😆💕✨
ゆきでした✨

参考
1)JAID/JSC感染症治療ガイド2014

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