薬局はあなたの毎日を守る小さな小さな最後の砦(「アンサング・シンデレラ」単行本カバーより)

68歳のAさん(仮)は進行性急性糸球体腎炎で通院されている患者さんです。

ある時、循環器内科からリクシアナ錠60mgを含む処方せんを持って来られました。心房細動のため、開始になったとのことです。

過去のデータから、Aさんは体重52kg、クレアチニンクリアランス(CCr)32.7mL/minであることを把握していました。

Aさんのリクシアナ錠60mgは、このまま調剤してよいのでしょうか?

リクシアナ錠60mgは、体重60kg以下または腎機能が中程度低下していると30mgに減量が必要

エドキサバン(商品名リクシアナ)の添付文書には、次のように書かれています。

非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症)の治療及び再発抑制:エドキサバンとして次の用量を1日1回経口投与する。

体重60kg以下:30mg。
体重60kg超:60mg。なお、腎機能、併用薬に応じて1日1回30mgに減量する。

体重60kgを超える患者のうち、次のいずれかに該当する患者には、30mgを1日1回経口投与する:(中略)

(2)非弁膜症性心房細動の虚血性脳卒中発症抑制で30≦Ccr[mL/分]≦50及び非弁膜症性心房細動の全身性塞栓症発症抑制で30≦Ccr[mL/分]≦50(以下略)

つまり、体重60kg以下、またはCCr:30~50mL/minでは、エドキサバン(商品名リクシアナ)は30mgに減量が必要と言うことです。

Aさんは、このどちらも満たしているので、病院に連絡してリクシアナの減量の必要性の確認をしようと考えました。

1回目の疑義照会で腎機能を伝えるが、看護師さんから処方医に取り次いでもらえなかった

「お世話になっております。AさんのCCr32.7と以前伺っています。減量基準に相当すると思われるのですが。」

「本日検査して、腎機能は改善が見られてますけれど。」

「よろしければ数値を教えて頂けませんか?」

「クレアチニン1.45、eGFR39です。」

なんだか雲行きが怪しく、処方医に取り次いでもらえなさそうです。その後もう少しやりとりが続き、電話は終わってしまいました。

2回目の疑義照会で、体重を伝えることで処方医に取り次がれ、リクシアナ30mgに減量

薬局内で他の薬剤師にも相談しましたが、今日の検査値で計算してもCCr35.9mL/minとなり、依然、減量基準に該当します。

腎機能でなく、体重で疑義照会してみたら、と言うアイデアをもらい、もう一度疑義照会することにしました。

「度々申し訳ありません。Aさんの体重52kgと伺っています。リクシアナは添付文書では60kg以下で30mgに減量と書かれているので、減量基準に該当すると思うのですが。」

1回目とは違う看護師さんで、処方医に取りついでもらえました。結果、リクシアナ錠30mgに減量となりました。

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無事、薬をお渡しすることが出来ました。ご家族のお話しでは、現状でもあざが出来やすい傾向があるそうです。

もし減量しないでリクシアナ錠60mgを飲んでいたら、出血リスクがあったかも知れません。

リクシアナの臨床試験であるENGAGE AF-TIMI 48関連の論文を見ると、腎機能に応じて低用量にしても、効果はワーファリンと比べて見劣りしません。

リクシアナの特徴は頭蓋内出血が少ないことなので、規定以上の量を飲むと、薬の良さを消してしまう可能性があります。

薬剤師は、医師の処方に唯一法律的に異議をとなえることが出来る職種です。

安全な薬物療法を提供することは、薬剤師が患者さんに負っている責任です。

今回の事は、処方せんの内容に疑問があれば、臆することなく疑義照会をしようと改めて考えさせられた出来事でした。

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